私たちが応援する路上活動のNGO “Tequio, por los jóvenes” とは 前編


運営委員 太樂 岳斗

<はじめに>
 Tequio, por los Jóvenes
(若者たちのための協同労働、の意。以後、Tequio[テキオ])は、ストリートエデュケーター専門の団体です。団体を構成するメンバーは、4人。その全員が、ストリートエデュケーターとしての活動経験を持ちます。

 約8年前、Tequioを立ち上げる際には、路上の若者たちが手に職をつけられる場として、カフェテリアを運営することを計画していました。しかし、さまざまな経験を踏まえて検討する中で、まずは彼らのための路上活動に重点を置くことにしました。

 路上活動で特に意識していることは、路上の若者、子どもたちに敬意を払い、対等な立場で対話するということです。

<方法論>  Tequioのベースとなる二つの方法論を紹介します。

1)民衆教育
 これは、パウロ・フレイレ(プラジルの教育学者)によって提案された教育論です。教える→教えられるの上下関係でなく、どの立場であっても対等であり、お互いを尊敬して学び合うという考え方。Tequioに置き換えると、路上の若者と私たち、その両者が持っている知識や教養を共有し合うことで、路上から抜け出し、人生を豊かにするにはどうすればいいかを、みんなで考えるということです。

2)参加型アクション
 受け身ではなく、主体性に重きを置く考え方です。お互いに高め合い、主体的に問題解決へ参加することで、当事者が考え行動し、アクションを起こすことを目指します。ラテンアメリカで広まっている方法論の一つでもあります。

<誰を支援しているのか?>
 ストリートファミリー(路上生活者とその子ども、コミュニティ)を支援します。

かつては路上に住む子どものみが対象でしたが、時代の流れと共に、路上の状況は変わりました。かつて路上に住んでいた子どもたちが成長し、路上生活者の間で子どもをつくるなどして、ストリートファミリーという、家族単位で路上で生活する人々が増えてきたのです。Tequioはストリートチルドレンだけではなく、彼らの親やコミュニティも支援しています。

<活動内容>

 Tequioの主な活動内容を、簡潔に順を追って紹介します。

1) メキシコシティの路上をまわり、彼らが住んでいる拠点を探し、特定する
 まず支援対象となる路上生活者がどこのエリアに住んでいるのかを特定します。地下鉄、バス、徒歩で、自分たちの活動がカバーするエリアを巡回します。居場所を特定した後は、どのエリアに何人の路上生活者がいるのか集計して、データにまとめる活動もしています。 

2)信頼関係を築く
 次に、出会った路上生活者との信頼関係を築いていきます。
 政府関係者や警察は、街の景観や観光客を優先して、路上生活者を排除してきました。また、彼らへの支援もとても少ないのが現状です。そのため、路上生活者は多くの場合、自分に近づく人に対して、恐怖心や不信感を持っています。それを取り除くために、自分たちが政府の人間ではないことや活動内容を伝え、対話することで、徐々に信頼関係を築いていきます。 

3)路上生活者に主体性を持ってもらう 
 信頼関係を築いた後は、Tequioの活動の軸となる考え方を伝え、路上生活から抜け出すにはどうすればいいのか、対話しながら、一緒に考えていきます。 

4) 自立の準備をする
 自立までにかかる時間や、彼らがTequioのメンバーと打ち解けるまでの時間は、一人ひとり違います。性格、路上生活への考え方、薬物依存度※ などが、それぞれ異なるため、一人ひとりに合った支援を行います。

 ※路上には薬物が蔓延しており、路上生活者のほぼ全員が薬物を使用しています。現在は、クリスタルという覚醒剤が流行しています。これは、依存性や副作用が特に強い危険なものです。

 具体的には、薬物依存回復専門機関に繋いだり、連携のあるNGO施設に連れていったり、学校に通うための手続きをしたり、路上生活者以外の人々とコミュニケーションしたり、などです。ここでも必ず主体性を重んじて、支援対象者が受け身の姿勢にならないように注意します。また、路上生活者が必要な施設にすぐに入れるよう、施設側にも予め受け入れの了解をとっておきます。

 一方、路上生活者は、一目につかない場所で薬物を使用している場合が多く、彼らと繋がるのが難しくなりつつあるのが、現状です。 

5) フォローアップ
 彼らを施設や専門機関へと繋げた後も、寄り添い続けます。定期的に会いに行き、一緒に外出したり、必要とするものを届けたり、離れ離れで暮らす家族との面会を定期的に行ったりします。これは、Tequioが常に彼らに寄り添っていることを示すための重要な活動の一つです。

 専門機関や施設で、路上とは全く異なる環境で生活することは、長く路上で暮らし続けてきた彼らに、不安やトラウマを植え付けかねません。そんな時、信頼関係を築いた立場だからこそ、ストリートエデュケーターは彼らのそばにいて、安心させることを怠らないのです。

 ★来月号ではTequio の活動の3つの柱と、さらに具体的な活動の中身を紹介します。

☀️チャリティ・トーク&タコス会「ストリートエデュケーターとして活躍する若者ふたりと話そう!」☀️

 メキシコシティのNGO「プロ・ニーニョス・デ・ラ・カジェ」では、現在、私たちの会のメンバーである大学生ふたりが、ストリートエデュケーターのボランティアとして活躍しています。彼らとオンラインでつながり、その活動や現地のようすを直接、ききます。トークの後は、みんなでタコス! 運営委員メンバーが用意したメキシカン・タコスを味わいながら、おしゃべりしましょう。子ども、家族参加も歓迎です!      8月12日(土) 1pm~3:45pm

       杉並区 阿佐ヶ谷地域区民センター 料理室

  参加費  おとな1000円、学生2人なら1人750円
       
高校生以下500円 
    すべて食材費と現地NGOへの寄付に充てられます

  申込&問合せ  件名に「トーク&タコス」と書いて、氏名と連絡先、人数をメールで送ってください。飲食物の準備があるため、できる限り、前日までにお申し込みいただけると助かります。 info@children-fn.boy.jp