*今年度の運営委員が、自分のこと、今考えていることなどを語ります。
私の名前はハイメ・ソックです。今回は、私の国である中米グアテマラからご挨拶させていただきます。専門はジャーナリズムで、今はグアテマラ全国規模のラジオ局(Emisoras Unidas:https://emisorasunidas.com/)の特派員として働いています。以前、日本を訪れたこともあります。そのときの美しい景色と日本の素晴らしいサービス、人々の規律正しさと正直さには、心から感激しました。物を置き忘れても、そのままの状態で落とし物として届けられる日本。残念ながら、私の国グアテマラでは、すぐになくなってしまいます(ので、皆さん気をつけてください)。
さて、話を私の国のことに戻しますと、皆さんもご存知の通り、6月3日にフエゴ火山の噴火がありました。ふもとにある村々は壊滅的な被害を受け、これまでに110名以上の死者と数えきれないほどの行方不明者が報告されています。
火山の噴火が起きたのは、皆がのんびりと過ごしていた日曜日の昼時でした。突然の噴火という緊急事態の知らせとともに、次々と現場の様子が送られてきました。写真やビデオには、噴出する火砕流から逃げる人々が映し出されていました。子どもを抱えながら逃げるも残りの家族が見当たらないと叫ぶ人など・・・その惨状には心が痛みました。
私が住んでいるケツァルテナンゴは、フエゴ火山から離れているため、火山の噴火が直接影響するようなことはありませんでした。そのため、噴火がわかってからすぐに、被災者に支援物資を送るための住民への呼びかけが始まり、数時間後には消防士らが、集まった支援物資を現地に届けるために出発しました。
そしてその翌日、フエゴ火山近隣の地域で働く私の同僚らから、火山灰に埋まった亡くなった人々や火山灰だらけになった人々の写真が送られてきました。同僚は、現状を伝えるために絶え間なく取材を重ね、また国内の人々は被災者のために食料、衣料、飲料水や義援金などを集めて、寄付を続けました。そして、グアテマラとメキシコの救急隊は、最も被害の大きかった地域を中心に、引き続き、行方不明者の捜索にあたりました。同僚によると、現場は噴火にともなう硫化水素の匂いなどが立ち込め、立っているだけでも苦痛なほどだったそうです。
フエゴ火山の噴火被害については、私の地域で起こったことではなかったので直接の取材はしませんでした。しかし、被害の状況を伝えられるたびに、まずは仕事に専念をするものの、その惨状には心が痛み、幾度となく涙がこぼれました。仕事をするには、冷静でいなければならないことはわかっているものの、一旦仕事を離れると、同じグアテマラ人として、人々の痛みを分かち合わずにはいられません。
今現在においても、行方不明になった人の捜索が続けられ、亡くなった人々の遺体が収容されています。亡くなった方の多くは、貧しい人々だと言われています。被災者の多くも貧しい人々だと言われています。その原因は何でしょう。
フエゴ火山の噴火について、また別のことについてでも、ご質問やご意見をお待しております。これからも、ニュースレターにはグアテマラから投稿を続けますので、皆さんよろしくお願いします。
(2018年6月発行のニュースレターNo281より)