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ニュースレター

メキシコ・ストリートチルドレンと出会う旅2015 参加者感想文2

2016/01/30 10:52:18 ニュースレター
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ストリートチルドレンを考える会

保田和樹(大学生)

 メキシコで出会った子どもたちは皆、元気で目がきらきらしていた。そんな子どもたちとほぼ毎日、約10日間、共にサッカーなどで体を動かしたり、何かを作ったりアクティビティを行い、体力的にも結構大変なツアーだったが、それと同時に、たくさんのことを子どもたちや施設の人々から学ぶことができたと思う。

 もともとは路上で暮らしていたが、路上での生活はよくないと自ら考えて、施設での生活を決心した子どもたちや、そのほか様々な理由で施設を訪れた子どもたち。そんな彼らがたくさんいる施設を訪れることは、本当に貴重な体験だった。

 子どもたちは基本的に人懐っこくて、言葉も互いにわからないにもかかわらず、積極的に近寄ってきて、日本のことを聞いたり、おんぶしてと乗っかってきたりする。遊んでいるときは、ぼくも彼らもすべてを忘れて、ただ楽しんでいた気がする。言葉が通じなくても、笑顔やジェスチャーでなんとなく話せているような気がした。

 基本的にスペイン語はあまりわからなかったが、唯一覚えた言葉がある。「あなたの夢は何ですか?」というスペイン語だ。初対面の人間がいきなり、子どもたちに夢を聞くというのは馴れ馴れしいような気もしたが、子どもたちは何にあこがれ、将来何がしたいのかとても気になったので、何人かに拙いスペイン語で聞いてみた。「医者になりたい」、「サッカー選手になりたい」、「職業訓練校に通い、手に職をつけて働きたい」など、大きな夢やすごく現実的な夢を語る子がいた。

 そして驚いたのは、「働いて家族を幸せにしたい」というようなことをいう子どもが何人もいたことだ。ぼくよりもおそらく10歳以上は年下の子たちがそう語っているのを聞いて、とても感心した。自分がいきなり初対面の人に将来の夢を聞かれ、「家族を幸せにしたい」と言えるだろうか。そもそも将来の夢すらまともに話せないのではないか。このように語る彼らを見て、ぼく自身のことも考えさせられた。

 NGO「プロ・ニーニョス・デ・ラ・カジェ」での路上活動に参加した時は、路上から施設に来てもらうには、そこまでの過程や施設の魅力を伝える方法がいかに重要であるかということを、感じた。ゲームやアクティビティなどを通して、施設に来たらこんなことができる、というような魅力を伝える。しかし、ただゲームやアクティビティをやるのではなく、子どもたちに興味を持ってもらえるようなやり方をする、楽しそうに見せるなど、施設のスタッフには一つひとつの工夫があった。

 特に印象に残ったことは、ゲームではまず子どもたちに勝たせてあげること。いきなりやらせて難しかったり、うまくいかなかったりすると、そこでもう興味を持たなくなったりすることもあるので、まずは楽しそうにみせて、うまくできるように丁寧に教える。このような過程を地道に続けることが大切なのだった。

 また路上を歩くときも、ただ歩くのではなく、寝る時に使ったダンボール、シンナーを浸して吸うために使うティッシュなどのゴミ、つまり路上に住んでいる形跡がないかなどを注意深く見て歩くのが、大事なことだった。

 施設に来てもらうにも、自分の意思で来てもらうことが重要であり、その場でそのままエデュケーターと施設に行くということはしない。子どもたちが路上よりも施設での生活が良いと考え、自分の意思で来てもらうことが、何よりも大切だ。これらの徹底したやり方で、根気よく丁寧に子どもたちのもとへ通い続け、付き合い続けることが、何よりも大切なことだとわかった。

 日曜日のオプショナルツアーでは、スラムの生活改善運動を行った工藤さんの長年の友人・マヌエルさんのいるスラムを訪れた。マヌエルさんは町の人々と生活改善を訴えるための活動を、若い時からリーダーとして引っぱってきた。土地や水などを売ってもらえるようにデモを行い、マヌエルさんたち住民の努力の結果、土地を安く売ってもらえたり、政府も好意的になったりした。その後もマヌエルさんたちは、学校やスポーツ施設、住宅の自力建設も手がけ、結果として156軒の家を建てた。

 現在でも、メキシコシティは水不足の問題を抱えているので、地域で雨水リサイクルを行っていた。街の中心部には上下水道が行き届いているが、周縁部には十分なサービス・設備がないことが多い。マヌエルさんたちは、地元で雨水リサイクルを行いながら、メキシコシティ全体で雨水リサイクルなど、水をためて使う制度を導入するように、政府に訴えている。

 マヌエルさんは、自分の子どもたちやこの地域の若い世代は、社会運動に没頭する親は家にいる時間が少ないことから、運動にあまり良いイメージを持っていないと嘆く。自分たちのために闘ったほうが良いことはわかっているが、昔の人よりは消極的だそうだ。何もしなければ何も変わらない。住民運動は必要だ。が、マヌエルさんたち町の人々がひとつになって運動したからこそ、今のこの地域があるという事実を、若者たちがよくわかっていないのかもしれない。運動の歴史をもっと伝えていかなければならない。

 今回のツアーでたくさんの子どもたちと会ったことは、本当に貴重な体験だった。それは工藤さん、篠田さんはじめ多くの通訳ボランティアの皆さんなしでは、できない体験でした。本当にありがとうございました。

(2015年11月発行のニュースレターNo250より)