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ニュースレター

ストリートエデュケーター・ボランティア報告 by 本田歩

2015/10/24 14:47:53 ニュースレター
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ストリートチルドレンを考える会

クラウドファンディングREADYFORのプロジェクト「路上生活を送る子どもたちを支えるストリートエデュケーターを育てたい」で、8月14日から9月15日までの約1ヶ月間(実際には9 月23日に帰国)現地NGO「チャイルドホープ・エイジア・フィリピン」へボランティア活動に行った福島高等専門学校の学生・本田歩さんから、最終報告書が届きました。

 

 8月14日から9月23日までフィリピンに滞在し、皆様からのご支援のもとで、Childhope Asia Philippinesでボランティア活動(高専のインターンシップを兼ねた)をさせていただきました。今回の滞在は端的に言えば、Childhopeの行う活動の意義について骨の髄まで学べた、とても有意義な時間でした。

 

 NGOでの活動は主に、3つありました。1つ目は、NGOの事務所でストリートチルドレンについて、彼らがまとめたレポートや、ストリートエデュケーターのトレーニング用に作られた本を読破するということです。

 

 2つ目は、ストリートエデュケーターとカウンセラーと共に実際に外に出て、子どもにセッション(路上教育活動)を行うお手伝いをするということです。週に4回は彼らに同行させてもらい、子どもたちと交流をしました。笑顔のはじける子どもたちと遊ぶときはいつでも、私は幸せな気持ちになりました。

 

 マニラ湾に近いルネタ・エルミタ地区と、治安がかなり悪いディビソリア地区で、主に活動しました。ディビソリア地区は、薬物を子どもに売りつける売人も多く、空腹を紛らわすために薬物に手を出し、依存症になってしまう子どももとても多いので、精神的にもきつい地区でした。薬物によって意識がもうろうとしていた兄にレイプされて子どもを産んだ、17歳の女の子もいました。

 

 3つ目は、Childhope専属の医者で、ストリートチルドレンの健康状態を診断し、医療支援をするDr.Pamelaの仕事のお手伝いです。これらを組み合わせながら、NGOでの学びを積み重ねました。フィリピンで時間を重ねるにつれ、自分の中ではある悩みが膨らんでいきました。

 

 4月、今年の夏にChildhopeでインターンシップをすることを決めてから、私は「自分にストリートにいる子どものためになにができるか」を、必死に考えてきました。私には、子どもの権利や衛生管理のための専門的な知識もありません。さらに問題なのは、現地の言葉であるタガログ語が、わからないということです。ただ、春に「フィリピン・ストリートチルドレンと出会う旅」に参加して、自分を大切に思ってくれる人からの愛情に飢え、苦しむ子どもたちを何人も見てきたことで、私にできることは子どもたちに精一杯、愛情を注ぐことだと、自分を納得させてきました。しかし、私は子どもたちやNGOの役に少しでも立てているのだろうか、若く未熟な自分のただの自己満足で終わっているのではないか、という問いが、何度も頭の中でまわっていました。

 

 そんな時、同年代ということもあり、仲良くなったシニア・アドボケーターの一人が、言葉をかけてくれました。その友人の名前はArleneといい、現在20歳で12年間路上に住んでいた経験があり、路上を抜け出して小さな部屋を借りてからも、大家に嫌がらせをされて出て行かされたり、両親が営む小さなバラックのお店を突然撤去するように警察に命じられて収入源を失ったり、今も一日一食しか食べられない日があるなど、大変な人生を送っています。(※シニア・アドボケーターとは、Childhopeの支援を受けている、比較的年齢が上の子どもたちの中で、同じような境遇にいるストリートチルドレンらに、主に子どもの権利についてのセッションを行う人の名称。)彼女は言います。

 

「ストリートチルドレンは、食べ物や服などにも困っているけれど、自分の存在意義や価値を認め、応援してくれる人をとても必要としているの。私も昔、親にあまり面倒を見てもらえなかったから、そのような人を心から欲していた。外部の人とただ一緒に楽しい時間を過ごすだけで、自分は気にかけてもらうに値する人間だと気づくことができるの。学生でまだ子どものあなたが、日本からわざわざ彼らと接するためにきた、それはすごいことだし、それが子どもたちにもインパクトを与えているの」

 

 また、食べる物にも着る物にも困っていない、不自由のない暮らしをしてきた私が、子どもたちの気持ちや境遇を理解したり、仲良くなったりすることはできるのか、という質問には、こう答えてくれました。

 

「私たちと比べて、お金持ちで裕福な生活をしているあなたが、彼らを気にかけているということは、とても価値のあること。理解できるかはわからなくても、全く違う立場のあなたが本気で理解しようとする、その行いこそが、子どもたちの心を開くことにもつながる」

 

 元ストリートチルドレンの彼女が話すその言葉は、とても説得力があり、私をとても勇気づけてくれました。彼女の言葉は、ストリートチルドレンを支援したいけれども私のような葛藤や悩みを持ち、活動に一歩踏み出せていない方や、自分の活動に自信が持てていない方にも通じることだと思います。

 

 私は18歳で、一人で海外NGOでのインターンシップに挑戦するということに、不安も抱えていました。しかし、私が若かったということが、子どもたちやシニア・アドボケーターと自然に仲良くなれた、対等なかかわりを持てたことに、大きく寄与したと思います。また、Childhopeのスタッフたちも、私を娘や妹のようにかわいがってくれ、良い意味で遠慮のない素直な関係を築くことができました。私もスタッフらを尊敬する姉、兄、母親と位置付け、積極的に質問をしたり、アドバイスをいただいたりしました。このように、今回私がこの年齢でインターンシップに行けたということは、とても意味のあることだったのではないかと思います。

 

 さて、冒頭にも書きました通り、ストリートエデュケーターらへの同行や、親しくなったシニア・アドボケーターとの何気ない会話を通して、ChildhopeというNGOの活動の意義について、深く学びました。

 

 まず、ストリートエデュケーターの行うセッションなど、活動を見学させていただいた時、全員とは言わないまでも、多くの子どもたちが積極的にからだをのりだしながら、エデュケーターとの活動に参加していたことが挙げられます。子どもたちは楽しみながら、かつ真剣に、子どもの権利や衛生知識、自分を守るための性に関する知識、薬物の危険性、そして時にはコンピュータースキルまで学んでいました。そういった活動に小さい頃から何年間も参加し、今はそれを支える側にあるシニア・アドボケーターで、先ほども登場したArleneに、私はある時こんな質問をしてみました。「あなたにとってChildhopeってどんな組織?」。彼女は、少し間をあけてから、ゆっくり言葉を紡ぎ始めました。

 

「Childhopeは私にとって、私や他のストリートチルドレンが、将来への希望や目標を達成するための道を見つけられる場所なの。ただの組織ではない。私の非常に身近な家族の延長線でもあるの」

 

 さらに、Childhopeの活動で自分の強みを見い出し、それを高められるようになったこと、また一方で厳しい現実を受け入れられるようになったこと、以前持っていなかった自分自身の夢を追い求められるようになったことなどを、話してくれました。しめくくりに、彼女はこう付け加えました。

 

「Life is not always happy. It is not easy. But there are people around me who can help me and make harder things go easy.人生はいつも楽しいものではない。簡単なものでもない。でも、私の周りには助けてくれる人がいて、大変なことを簡単にしてくれる」

 

 Childhopeのスタッフは、特にストリートエデュケーターたちは、午前中から事務所に行って、子どもたちの情報や活動の記録を書類にまとめ、その後はストリートに出て子どもたちにセッションをし、その後で子どもたちにご飯を与え、子どもたちとコミュニケーションをとり・・・と、気づけば自宅に着くのは 夜10時頃だったりするそうです。さらに、精神的にも体力的にもハードな仕事にもかかわらず、貰える給料はとても少ないという、大変な立場にもおかれています。しかし、彼らの仕事は、絶望の淵にいて苦しむ子どもたちの未来をきりひらき、人生に希望と夢を与える、すばらしいものです。皆さんが、このNGOに金銭的に大きな協力をしてくださったことは、ストリートチルドレンの子どもたちに、私たちが考える以上に役立っていると思います。

 

 今回の滞在は、気にかけていた子どもたちが薬物を使っているところを目にしたり、個人的にストリートチルドレンと朝ごはんを食べにファストフード店に行った際に、警備員や他のお客さんから「汚いものを連れてくるな」とでも言いたげな冷たい目で見られたり、(NGOとは関係ないですが)滞在先ではシャワーがなく冷水が出る水道で体を洗い、洗濯は全て手洗いという生活をしたり、更には慣れない生活で体が弱り、デング熱に倒れたりと、チャレンジングなこともありました。しかし、それらを含め、フィリピンでの収穫はとても多く、私の人生やものの見方を大きく変える日々でもありました。

 

 ごはんを3食不自由なく食べることができる幸せ、親が私に惜しみない愛情を注いでくれている幸せ、安全な住宅で毎日あたたかいお風呂に入れることの幸せ、学校に問題なく通えていることの幸せ・・気づけたことは書ききれないほどあります。特に、私の人間としての尊厳を敬い、愛情を注いでくれる大事な人の存在がいかに大切なものか、再確認することもできました。そういった人がいることは決して当たり前ではなく、奇跡なのではないかとさえ思えます。

 

 私は日本でもストリートチルドレンとの関わりを続けていこうと、支援物資を送ることを決めています。すでにクラスメイトに、「自分がもう使わない子どもの服や、家で眠っているタオルがあれば、マニラにいるかわいい子どもたちのために譲ってもらえないか」と声をかけ、協力の約束をしてもらいました。顔の見える気軽にできる国際協力と題し、この計画を友人に紹介したとおり、自分のできる範囲でできることを、ストリートチルドレンのために行なっていければと思っています。

 

 最後に、皆様からのご支援によって、私は素晴らしい機会をいただき、かけがえのない学びを得ることができました。本当にありがとうございました。皆さんと共に、今後もストリートチルドレンに関わることができたら幸いです。

(2015年10月発行のニュースレターNo249より)