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ニュースレター

フィリピン・ストリートチルドレンと出会う旅2015 参加者感想文

2015/04/11 10:22:12 ニュースレター
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ストリートチルドレンを考える会

本田歩(高専生)

 人間が生きていくのに必要な基本的なものは?そう聞かれたら、「衣」「食」「住」、そう答える人は多いだろう。しかし本当にそうだろうか。ストリートチルドレンには、この3つがおよそ不十分であるが、なんとか暮らしていくことはできている。ただ、あるものが、他の子どもたちよりも明らかに枯渇している場合が多い。彼らが何よりも必要としているのは、「愛」なのではないだろうか。私たちもまた然り…。親から受けられる無償の愛。もしくは、ソーシャルワーカーが与える無償の愛。フィリピンでのスタディツアーは、愛情をかけてもらうことの大切さを骨の髄まで学んだ7日間だと言っても過言ではないだろう。いまだかつてないほどの濃密な7日間を過ごさせてもらった。学んだことが多すぎて、とてもではないが全てをここに書くことは不可能であるので、今回は「愛情」を主なテーマにして感想を書こうと思う。

 「自分を大切にしなさい」「他人を尊重しなさい」そんな言葉をよく聞くが、愛情を十分に受けて育ってこなかった人間には、なぜそうしなければいけないのかを理解することができない。フィリピンでの最後の学習日に、『セラズセンター・フォー・ガールズ』という施設を訪れた。この施設には、心と体の療養を目的に、性的な虐待をうけた、もしくはその危険性がある少女らがNGOスタッフと暮らしている。そこで聞いた話は、衝撃的なものであった。性的虐待を受けながら育ってきた子どもは、自分が「被害者」だということがわかっていない場合が多いそうだ。少女は被害者で、性的虐待をする父親、もしくは親戚は加害者なのは、誰が見ても明白であるにも関わらず、そう思うことができない。不細工で醜い自分は、人に愛されるに値する人間でないため、このようなことをされるのだと思い込んでしまっているのである。もし「あなたは被害者だよ。あなたを傷つけるあの人の行動は絶対に間違っている」と誰かが心から伝え、少女を抱きしめていたら、自分が被害者であることを、施設のスタッフに会う前に認識できただろうと思う。自分はダメな人間だから、何をされても仕方がない。そう考えてしまうことは、とても恐ろしいことである。善悪の判断がつかずに、また他人を大切にする方法も知らずに、生きていくことになるからだ。人から大切にされた経験がなければ、他人を大切にすることができるはずはない。

 愛情を受けて、自分がかけがえのない人間だということをわかってもらってはじめて、傷ついた子どもたちへの支援は、次のステップにいく。次のステップとは、昨年ノーベル平和賞に輝いた、”One child, one teacher, one pen and one book can change the world.”でおなじみのマララさんが訴える「教育」である。子どもには教育を受ける権利があるということを知った子どもは、自らの可能性を広げるため、教育を受けたいと思うことであろう。自分が大事な人間であり、だから家族も含めて路上なんかに暮らして一生を終えてはならないと思えた時、次の一歩を踏み出すことができるのである。学校に行くことができれば、仕事で使う専門的な知識を学ぶこともできる。卒業後には、物ごいや物売りではない安定した仕事に就くことができる。(できない場合もあるようだが・・・)

 私は、今回さまざまなNGOの施設を訪れ、そこの職員と心を通わす子どもたちの様子をたくさん見てきた。私は、そこにいた子どもたちが心のあたたかい職員と出会えて、愛のある生活を送れていることに、心から安堵し、喜びを感じた。だが、ストリートやスラムで暮らし、SOSを発している子どもの数に比べて、NGO の職員やNGOと子どもたちの仲介をするストリートエデュケーターの数が、絶対的に不足している。参考までに、マニラ首都圏にはおよそ3万人のストリートチルドレンがいるが、それに対してストリートエデュケーターの数は20~30人だそうだ。

 私は、NGOと子どもたちとの懸け橋とも言えるストリートエデュケーターの仕事に、高い関心を持っている。食べ物だけでなく、愛情に飢え、心を閉ざしたり、非行に走ってしまったりした子どもたちの心を開かせるのは、困難を極めるかもしれない。しかし、私は時間をかけて少しずつでも良いから、苦しんでいる子どもたちと心を通わせたいと思う。まずは、自分が価値のある大事な人間だということを知ってもらうために、彼らと本気で関わって全身で愛を伝えたい。ただただがむしゃらに。

 それをする自信はある。子どもたちがふいに見せてくれるであろう笑顔によって、私の愛情はすぐに満タンにチャージされることだろうから。最後に、両親への感謝の気持ちをここに綴りたい。私に愛情をかけて精一杯育ててくれてありがとう。私は幸運にも愛情を十分に受けて育ってきたので、これを他のところでお返ししていこうと思う。

(2015年3月発行のニュースレターNo242より)