01_hed_logo
メキシコ・スタディツアー:20回実施
フィリピン・スタディツアー:8回実施
  • 01_hed_tw_icon
  • 01_hed_fb_icon
  • お問い合わせフォーム
会窓口:〒112-0001 東京都文京区白山3-4-15 JULA出版局内

ニュースレター

映画紹介コーナー この映画をお勧めします! トラッシュ! 〜この街が輝く日まで〜 TRASH!

2015/01/30 18:51:17 ニュースレター
202
ストリートチルドレンを考える会

2014年/アメリカ/114分  監督・スティーブン・ダルドリー

紹介者・工藤律子 

 実は私、この映画のパンフレットにreviewを書いている。なので、同じような内容にならないように気をつけながら、この紹介文を綴ろう。もし映画館へ足を運ばれたら、ぜひパンフレットのreviewも読んでいただけるとうれしい。

 舞台はブラジルのリオデジャネイロ郊外のゴミ集積場。フィリピン、メキシコはもちろん、「第三世界」のさまざまな街で見られるように、ここでも大勢の子どもとおとなが、街が吐き出すゴミの山から、リサイクルできるものを探して拾い集め、売ることで、日銭を稼いでいる。そのゴミの中にある日、ラファエル(14歳)はひとつのサイフを見つける。このサイフには、悪徳政治家を追い詰める重要な証拠が隠されており、その政治家に雇われた警察は血眼になってサイフを探している。その様子から、警察はきっと何か良からぬことのためにサイフが欲しいのだと感じたラファエルは、サイフを守り、そこに隠された秘密を解き明かす事が正義だと信じて、友だちのラット(ガブリエル)、ガルドと共に、命がけの冒険を始める。

 この映画は、アンディ・ムリガンがフィリピンやインドで教員生活を送った経験をもとに書いた作品を原作にしているだけあって、貧困層の少年たちやおとなの現実、彼らを支援する神父やNGOの姿を、とてもリアルに描いている。その一方で、スリルとアクションにあふれた映画としての魅力も十分に持つ。フィクションであり、ハッピーエンドなので、ストーリーの背後にみえる「第三世界」の厳しい現実=政治家の汚職、はびこる賄賂、貧富の格差、警察の腐敗、「権力」の横暴、暴力に対しても、落ち込まずに正当な怒りを抱ける。少年たちの姿を通して、私たちは「不当なこと、まちがった世界を前に、みてみぬふりをしていてはいけないのだ」と、強く感じる。三人の少年役は実際に貧困地域に暮らす子どもたちであるため、ますます「正義のために行動しよう」と彼らに言われているような気がしてくる。

 台詞はポルトガル語で、マーティン・シーン演じるカトリック神父も登場する。メキシコの路上の少年少女も結構信心深いが、ブラジルの少年たちもそうだ。神父を頼り、また自らこうと決めたらスーパーヒーローのように突っ走る彼らをみていると、メキシコの路上で出会った少年たちを思い出す。

 昨年のサッカー・ワールドカップ、ブラジル大会の際は、そんなことに大金をかける前にわれわれの暮らしを何とかしてくれ、と叫んでデモを展開する人々が大勢いた。それは日本のニュースでも取り上げられ、ブラジル社会の問題として紹介された。が、私たちは、この映画の少年たちと出会うことで、改めて、彼らの叫びは「私たち自身も受け止めるべきもの」で、私たちは問題に対して行動を起こすべき立場にあることを、思い知らされることだろう。

(2015年1月発行のニュースレターNo240より)