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チャリティ・ラテンパーティ「ストリートチルドレン・メキシコシティの路上に生きる」に参加して

2015/01/14 15:10:53 ニュースレター
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ストリートチルドレンを考える会

Comet 代表・佐山貴亮

ストリートチルドレンと聞いても、私にはあまり縁のない話だと考えていた。そんな私がこの会に参加したのは、四ツ谷にあるカフェで、「ストリートチルドレンを考える会」運営委員の松永さんとお会いしたことが、きっかけだった。私はCometという団体を主催しており、四ツ谷のカフェや品川のシルバーセンターなどでボードゲーム会を開催している。「ボードゲームで人と人のつながりを作る」というのがテーマだ。ボードゲームというと人生ゲームや将棋、オセロなどを思い浮かべる方も多いと思うが、私たちが遊んでいるゲームには、ここ数十年に作られた新しいタイプのゲームが多い。いわゆるドイツボードゲームという、子どもから大人まで楽しめる様々なゲームを用意して、交流の場を作っている。そういった活動をしている私は、松永さんから「ストリートチルドレンの生活が学べるボードゲームをする会がある」と言われ、二つ返事で参加することにした。もともと学校で教員をやっていることもあり、社会的な問題に関心はあった。しかし今回、特に自分が深く関わっているボードゲームでそれを学べるという点に強く惹かれ、これも何かのご縁だと思い、参加しようと思ったのだ。

 

会が始まるとすぐ、ボードゲームの時間になった。このゲームは基本的にはすごろくのようになっており、「スタート」から「ゴール」に向かってコマを進めていく。ただしサイコロはふらず、カードをめくることでコマが進む、あるいは進まなかったり、戻ったりするという仕組みになっている。カードにはそれぞれストリートチルドレンが体験するような事柄が書かれており、そのカードを並べていくと一人のストリートチルドレンの人生ができあがるのだ。

 

プレイヤーは、一人ひとりがストリートチルドレンになりきり、ゲームを進めていく。どのような背景で路上生活を始めたのか、どのような家族関係があるのかといった、細かい事情が一人ひとりに決められている。家族から性的虐待を受けそうになって逃げ出した女の子、家庭に不満をもった兄に連れられて家を出た男の子など、子どもたちには様々な事情がある。ゲームの途中にめくられるカードの中身も、ショッキングなものが多い。警官に住処を追い出されたり、薬物に走ってしまったり、日本では考えられないようなことが起こる。途中にある「?」マスではクイズが出され、現地の写真を見ながら彼らの思いや境遇について考えることができた。

 

コマが進むと、施設に入ることができる。路上での生活から抜け出すための支援を行ってくれる施設だ。ここに入ることがゲームの目標の一つだが、入る際にはいくつもの決まりを守らなくてはならない。決まりが守れずトラブルを起こしたり、施設に嫌気がさしたりして、路上での生活に戻ってしまうといったカードもある。私が扮した男の子も、一度は施設に入ったものの、ケンカをしてしまい、すぐに施設から追い出されてしまった。ゲームが終わると、感想をシェアする振り返りの時間となった。ゲームの中で過ごした人生を振り返りながら、思ったこと感じたことを思い思いに話していく。この会の中でも一番大切な時間であろう。

 

私は今回のゲームを通じて、あらためてゲームの力というものを思い知らされた。それは第三者として客観的に学ぶのではなく、当事者になりきって考え、感じることで学ぶということだ。特にこのゲームには確かなリアリティがある。やはり現実のストリートチルドレンと関わっている人たちが作ったというのは、大きいであろう。登場人物の設定も細かく、感情移入がしやすい。そして、カードにはドラッグや性的虐待など、教育・公共の場では伏せたくなるようなことが書かれている。それが彼らの現実であり、リアルである。そのことに、カードを一枚めくる度にハッとさせられるのだ。自分自身がストリートチルドレンになりきり、次々と起こる出来事に遭遇していくという体験は、座学や講義では味わえない。ゲームというツールのもつ「体感する」、「模倣する」という点が、非常によく使われていると、率直に感じた。こうした体験や気づきは、ゲームでなければ味わえないだろう。

 

振り返りのあとは、メキシコ料理などを食べながらの懇親会となった。そこで、このゲームを作った方とお話をさせていただいた。私自身、ゲームの可能性を考え、模索している者として、このような試みはとても興味深く感じる。また同時に、ぜひ多くの人にこのゲームをやってもらいたいと思った。

 

その後、海外に渡った仙台の武士たちが歩いた足跡をたどる写真を、スライドショーで観た。遠い異国の地に足を踏み入れた先人たちは何を思ったのであろうか。技術が進み、世界が狭くなったと言われる。しかしながら、まだまだ私たちが知らない世界の側面というものは多い。このような活動を通して、多くの人に世界の姿を知ってもらいたいと感じた。

 

(2014年6月発行のニュースレターNo233より