グアテマラの子ども その15

*中米グアテマラの地元メディアの記者が、現地の子どもたちの様子をレポートします。


現地記者 ハイメ・ソック
 グアテマラのケツァルテナンゴ県スニル市のチコヴィッシュ地区にある小学校において、児童らが模擬選挙をおこないました。校内で異なった学年の児童らが4つの模擬政党を立ち上げ、児童全員が参加しました。これは、子どもたちが将来、本当の選挙で投票するための準備です。

 今回の模擬選挙では、立候補した模擬政党の児童らがそれぞれのマニフェストを掲げ、1票でも多く自分に投票してもらうために、子どもらしい“改革”の約束を声高にアピールしました。例を挙げると、「ボールを寄贈します」、「(給食の代わりに提供している)おやつの内容を改善します」、「休憩の自由時間を延長します」。この模擬選挙が実施された学校の先生らによると、参加した児童たちは全員、真剣に考えながら投票をしていたということです。

 グアテマラの選挙では、投票用紙に既に政党のマークが印刷されており、有権者はそのマークをチェックします(非識字者の割合が日本よりも高いグアテマラでは、誰でも投票できるように考える必要があります)。小学校での模擬選挙では、模擬政党の子どもたちが、各々の党のマークをイヌや蝶々、ケツァール(グアテマラの国鳥)にしたり、自分の写真を用いたりして、投票用紙に印刷し、自分の政党をアピールしました。

 模擬選挙当日、投票権を持つ児童は全員、休憩の自由時間に教室を後にし、投票場所に向かいました。投票場所では、小さな子どもたちが列をなし、自分が「この子こそ適任」と信じる候補者に投票するという、自らの権利の行使に真剣に取り組んでいる様子が窺えました。先生たちは、この模擬選挙にはもちろん参加することはできず、選挙監視人の役割を担いました。選挙は、子どもたち自らが企画・実施したもので、参加者は6〜12歳の児童だけだったのです。実際の選挙と同じように、投票後にすべて開票、集計され、しばらくしてから投票結果が出されました。ちなみに、今回の模擬選挙では、蝶々マークの政党が勝利をおさめたようです。

 今回のような活動を学校で模擬的に実施することで、子どもたちは、18歳から投票できる選挙の練習ができ、より選挙に親しむことができます。そうすることで、実際に投票を行う年齢に達した時の投票の大切さを知るとともに、周囲の声に惑わされたり、候補者の甘い言葉に騙されたりすることがないようにすることも、目的としています。加えて、このように子どもの頃から正当な選挙のあり方を教えることにより、将来のリーダーの卵たちに「正義」を伝え、この国から汚職を追放することも、目指しているのです。
(2018年3月発行のニュースレターNo278より)

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